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特集
2017年06月16日
「米王国=米文化=米の陣」座談会 第二部(前編)

おまたせしました!

「米王国=米文化=米の陣」座談会 第二部(前編)

第一部はこちら

 

続いて第二部、前半をここに掲載いたします、後半もお楽しみに!

 

司会進行:

能登剛史 にいがた食の陣実行委員長 能登剛史

 

樋口十旨張 にいがた食の陣事務局 樋口十旨張

 

参加していただいた生産者の方

樋浦幸彦 永塚崇嗣

樋浦幸彦さん…燕市・ひうら農場代表/永塚崇嗣さん…株式会社果香詩の取締役

 

坂井孝一 熊倉-睦

坂井孝一さん…坂井ファームク リエイト代表/熊倉 睦さん…むつみ農園代表

 

石附健一 髙塚俊郎

石附健一さん…ライスグローワーズ、加茂有機米生産組合員/髙塚俊郎さん…タカツカ農園を営む6代目

 

 

佐藤豊吉

佐藤豊吉さん…中条農産の会長

 

新潟の米作りに未来はあるのか?

25周年を迎えたにいがた食の陣が、今後の大きなテーマとして掲げたのが、新潟農業の象徴と言える米作りだ。
人口減少や主食としての米離れが進む現代において、米作りの最前線にいる生産者たちは何を考え、どんな思いを持つのか? 県内各地でそれぞれ独自のスタイルで米作りに励む7名に、今の思いを聞いた。

〜第二部〜

 

<能登>

 今ほど樋口さんからも言われたように、実は、実家が能代で、味噌、麹を作ってもう350年くらいです。老舗といいますか古い麹屋の19代目。17代目を蹴って、いとこが継いで、それが辞めて、今、空白域になっている19代目です。そろそろ戻って来いみたいな話を言われていまして。先ほどもなかなか新潟に帰りたくないみたいな話がありましたけれども、似たようなところだなと思いながらいます。

 そういう環境に育ったせいか、やはり地域の文化みたいなものに非常に敏感に反応しています。今から十五、六年前ですけれども、27歳のときににいがた総おどりという踊りの祭りを新潟で起ち上げまして、その後、6年くらい前にアート・ミックス・ジャパンという、伝統芸術が集う一大祭典というものをやっています。2年前から食の陣にかかわりはじめています。

 踊りを始めたときに、新潟には民踊の踊り、地域に根ざしたものがたくさんありました。ダンスの文化というのをある企業にリサーチしたところ、最初にダンス用品を売るのはどこかというと、北海道か新潟県だというのです。それだけ需要があると。しかし、新潟の人たちはその価値を知らなかったわけです。15年かけてにいがた総おどりもたくさんの参加人数に増えてくるわけですけれども、そういった新潟人が知らないことがたくさんあるのです。

 

 他県の方々が、新潟といえばこうだよねということを認識されていることも多々あります。その中で一番大きいのは、やはり新潟といえば米と酒だと。しかし、新潟の中で、では米と酒をどのくらい知っていて、米と酒に触れられる機会というのはどれだけあるのかとふと考えたときに、なかなかそれがあるようでないというか、知っているようで知らないのではないかなと。食の陣の中で、今年、25周年を起ち上げたときに、やはり新潟人が新潟の文化、新潟が大切に守り受け継いできたものをまず知るべきだろうし、自分達で話ができるような文化を育てることを、今後、25年を経た食の陣が、今後5年間の中で築き上げていく次の一歩だろうということで、今年度から、「米王国=米文化=米の陣」として発信していこうというところでございます。

 今ほどさまざまなご意見を頂戴しお話しいただいた中で、やはり米の未来というのはあるのかないのか。皆さん、奥歯に詰まった何かをもう少しはき出していただければ、何かもっと分かるところがあるのでしょうし、聞いている中では、やはり米を作っていくということは非常に大変なことなのだということが、この何人かのお話を聞いていて、感じておりました。もっとずばっと、やはり難しいのだ、無理なのだと。しかし、こういう可能性があるのだということを、もう一度皆さんの口から簡単にお話を聞ければということをまず切り口にして、お話を始めさせていただきたいともいます。

 樋浦さんから、もう一度ずばっと。

 

<樋浦>

 私も就農してからずっと首都圏に向けて、無農薬米を1俵4万円くらいで売っていましたが、地元ではなかなか当たり前すぎてその価値を分かっていなかったところがありました。ただただ田植えとか色々なことをやっていたのは良いのですが、本来ある価値みたいなものをしっかり地元に拡げていきたいという気持ちがあり、取り敢えず近所の人達にしっかり見てもらわなければ駄目なのだという気持ちがとても強くなってきました。意外とみんな知らないのだなと、身近の事が。

 

 それこそ田んぼの原風景そのものですが、ある時に産業史料館の学芸員が遊びに来て、ドローンを飛ばして遊んでいたのですけれども、ここ最高!と言うのです。こんな良い所は無いと言われて、私も朝、日の出とともに田んぼを見に行って改めてすごく気持ちがいい!なと思って、二日酔いじゃない日はよく田んぼでぼうっとしている時もあります。そういった当たり前過ぎて見えないものをしっかりと我が家の子供も高校生ですが、これからどう進路を決めていくかは分からないですけれども、先ず子供に向けてしっかりと伝えていこうかなと考えております。何かそうやって地元で活動していけば、また県外に出た方でもやはり郷土の食を食べたくなったり、その価値をきちんと知っていればまた戻って来てくれるのかなと。誰がそれを情報発信するかと言えば、とてもキーになると思うので地元からでもそういったより身近なものの価値をしっかり知ってしっかりと育てていかなければいけないなと言う事に、最近とても力を入れて子供達とか地元の人達に、再発見ではないですけれども、再確認の為にも、今やっています。

 

空から

 

 県外の人の方が新潟のお米の価値を分かっている方が多いというか、いろいろなものを食べ比べたけれども、やはり新潟産が美味しかったと。私も25年くらい直売をやっていますが、買いに来てくれる方も多いですし、リピーターの方も多いので、しっかりやっていきたいというのがひとつです。

 あと、燕・三条で工場の祭典とかをやっているのも、これから日本も1億人を切って8,000万人くらいまで減りますという人口減少が身近になって、戦前くらいの人口になる訳ではないですか。では、昔はどうであったのかを考えた際に、みんな連携してやっていたのではないかと考え、支え合いと言うかそういう事をもう一度作り直したいという気持ちもあります。もともと燕市は沼地みたいなところだったらしいのですが、西川が氾濫して、そこで米がなかなか作れなかったから金物を扱う商業が栄えていったという歴史があるのです。やはり元は百姓だったので、そちらに特化していく人と百姓を何とか頑張っていく人と、金物をやりながら農家をやっていく人というように分類していったらしいので、元は百姓なのだからまた一緒にやっていけたらなと考えております。

 

 けっこう県外に出店されている店舗が沢山あるので、日本国内、海外を含めて、それこそオール新潟ではないですけれども、そういう事で県外、国外にも情報発信出来るよねという話を今は産業となったある金物屋の若い社長とお話ししているので、総合的に打ち出していければいいのかなと思います。今はインターネット社会が凄まじい勢いで進化しているので、どうにでもなるのかなと思い、きちんと導線だけ作ってあげれば、ここに居ながらでも出来るのだろうと考え、だから地元でしっかり活動していく事がこれからきっと大切なのかなと想い、今地元での活動をしっかりやるようにしています。

 そこで、新潟のお米は世界で一番高いお米なので、それを維持する為に、しっかり情報をキャッチしてやっていけば、まだまだ世界一でいけるのではないかと思います。勿論、私は魚沼のほうが1番だと思っていますが、山手の米はとてもおいしいのです。世界の2番で良いと思っているので、世界で2番の米づくりを、またこれからしっかりやっていきたいというのが目標です。

 

<能登>

 私は秋田県人なのですけれども、新潟に来て思ったのが、新潟の人は、例えば、何々産とか、佐渡で作ったとかどこどこの田圃で作ったとか、これが旨いんだと言う様に言い分ける訳です。これどこかで聞いたことがあるなと思ったら、ヨーロッパに行くと、ワインやシャンパンはみんな畑によって作り方、味が違うとかブランド化していますよね。まさに新潟の人達は普通に田圃エリアによって自分たちの味の強弱を表現しているというのが、まさにシャンパーニュみたいな味わい方をするのだなと実感しています。米の陣の中でそういう紹介の仕方が出来たらと思います。新潟人は当たり前に言っているのですけれども・・・。

 永塚さん、お願いします。

 

<永塚>

 私は米の販売という中で考えると、私なりのターゲットがありましたが、どちらかというと、買ってくれるお客さんは60代前後の方からそれ以上の方が多いのです。お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん世代が買ってくれているのですけれども、その需要があって、子どもや孫に買い与えるというお客さんが多くて、その比率が半端ではないのです。子ども、孫は買わなくても良いような形で親が買い与えるものだったりするので、親は知っているけれども子どもは知らない、買い与えて貰っているものだから、米の値段とか価値を知らないまま親から教えられ得た教育を受けているのだなと云うのが、米販売しているときの実感です。当然、新潟県内のお客さんでもお父さんお母さんたちが買ってくれるので、米生産とか農業の現場を子供達世代が理解しているのかといったら、やはり先程樋浦さんが言ったように、農業とか農村の価値観というものは身近でありながら知らない世界というのは私も感じます。

 

 いろいろな体験事業とか、いろいろ私も経験させてもらった中で、西蒲区の中では、農業県であるにもかかわらず本当に体験参加者が少ないのです。それだけ近くにあるからいつでも見られるという考えかもしれませんが、でも本質を知らない事が、やはり農業県特有であるのかなという感じもします。県内でもやはり住宅団地に住んでいるような方が積極的に参加しますし、直売所などでの購入率も高いというイメージです。直売所でお客様と話している中でそういう感じに捉えるような会話をしますので、逆にちょっと目の前に在り過ぎて見えていないのかなと?。しかし、その扉を開けば、米だったり野菜だったり、魅力に飛びついていけるステージになると思うのです。

 

 ただ、やはり、新潟県民は味にはうるさいですよね。能登さんも言われたように、品種、時期というのは、みなさん、果物、野菜関連にしても言われます。新潟ばかりだと思うけれども、桃でも品種までしっかりと書いてあったり、その時期の美味しいものを選んで食べるというのは新潟県民特有なところではありますよね!。食にはストイックなのに現場はいつでも見られるから良いと言う様な感じも受けますので、もっと魅力を高め・広めて新潟県全体として伝えていく事により、生産現場も私達がPRして体験してもらう事が出来れば、もっと面白いことが出来ると思います。新潟県の農産物のブランド力、米もそうですし、いろいろな生産物がPR出来れば、後の消費地は新潟県でしかない訳だから、新潟県に来なければ食べられないのだという事も含めてPRすれば、また一つの観光資源にもなるのかなと思っています。農業の担い手が少ないというのはやはり残念なことですし、現場をもっと伝える事を、農家サイドにも限界があるので、もっといろいろな情報とか、プロデューサーがいてくれる中で伝えることが出来ればいいのかなと。その広報とか情報発信力という面で、色々なところで助けていただくと、新潟県農業がもっと活発になって、一時、農業が熱いということで沸騰した時期がありましたが、今は少し下火になってきている様なところもあるので、若手だけではなくて高齢者だけではなくて幅広い生産者が集合する中で、PR出来たら良いのかなというのが願いです。

 

 

茶碗米

 

 

<能登>

 食などの学校教育の現場の先生にお話をしたら、お米を口内調理しない子供達が最近増えているという事です。要は、ご飯は、ご飯、おかずはおかず、おかずとご飯を一緒に口の中にぐちゃぐちゃ食べるのは違和感がある子供達が最近多いらしいです。そういった食べ方の教育自体も若い子供達に受け継がれていないと言うので、少し敏感な子供達が増えてきています。

 では、坂井さん。

 

<坂井>

 先ほど、米は大変な時期だという話がありました。米を作るのは簡単なのです。それを作って売って経営するのが大変なだけで、それこそ作業的に言うと何よりも私達からみたら、年間の作業量は本当にいくらもないから、米だけで食べられたら本当にみんな楽しい、いい農業なのだけれども、それを経営出来ないから辛いのです、きっと。

 先ほど、二日酔いするようになったとかという話をしましたけれども、同じように代謝が落ちてきて、自分自身がお米を食べなくなってしまったのです。昔、本当に食べて、ある意味いい形の生活をして、健康的な体を使って日々沢山食べて、お酒を飲んで、いい循環の消化をしていたのだけれども、最近、食べなくなった。それが私ばかりではなくて、日本国中、食べなくなったのかなと私は思っています。

 

 うちも規模が小さいながらも、ずっと昔からお客様に直接販売してましたが、昔は1軒の家が一月20キロ食べたのが10キロになり、今、5キロというのが結構あるのです。そうすると、判らない訳ではないですよね!。団塊の世代の一番コアな連中が年を取って代謝が落ちてきた。そして、若い連中はパンを食べる。ご飯が主食ではなくておかずの一種のような感じです。例えば、ホテルの朝ご飯でもそうですけれども、バイキングではなくて普通に出る、こんな少量しかないのです。これでは食べないなと。先程の話だけれども、かと言って、どんどんと耕作放棄地が出てくる、それを維持する為にはどうしたら良いかといったら、ある程度米を作るのはあきらめて、やはりある程度畑作なりという感じで、地目変換できるカタチで、出来れば機械を使って生産する。稲作がいいのは機械がずっと作業効率が上がって沢山の収量が取れるから稲作がいいだけであって、もう少し畑作でもいろいろな形で機械をどれほど使ってどれほど生産性を上げるかと言う事の共有化を図ろうとすれば、農業に於ける地域全体で対応する事だと思うのです。米に特化する事だけではなくて、地域全体の農業を維持出来るのかなというところです。

 

 ちなみに、当社に於ける販売先の米としては5キロの袋で、尚且つほとんどのお客さん、県外のお客さんが頼まれるのは、ワンコインセットです。うちの直売所にある商品を3点で500円のようなもの。例えば、キュウリ3本とブロッコリーとみたいなものをセットで作ると、ほとんど頼まれます。野菜を食べたいからお米も頼むみたいな感じです。お米に運賃を持たせて野菜を頼むみたいな感じ。ワンコインセットというのが凄いです。ただ、それがなかなか拡がっていってないというのが現状の悩みでもあります。

 

<樋口>

 拡がらないというのは。

<坂井>

 営業が下手なのでしょうか?、注文は本当にあります。

<樋口>

 好まれるのだけれども拡がらない。

<坂井>

 はい。先程言われた様に、送ってあげたいという注文はものすごくあります。自分の子どもに送ってねというのは沢山あります。

 直売所もやっているので、その中の野菜は一番たくさん取れる旬なものです。そうすると、原価としてはとても安いので、かつバリューがあって美味しいという。旬を届けることが出来る訳です。ただ、12か月の通年に於いて順番に品物が変わっていきます。

<樋口>

 坂井さんのところは新潟駅で直売もやっていますよね。そのきっかけになったのは、にいがた食の陣の当日座に坂井さんにも出店していただいた事から、JR関係者よりお話が有り新潟駅への出店の要請が掛かり実現した経緯が有ります。当時のJR関係者はいい形態のものを見つけると積極的に取り込む風潮が有りました。それで今も駅で産直をやっています。

<坂井>

 本店と駅前という感じです。

 

<能登>

 次に、石附さん、米の生産農家として、いかに需要を伸ばしながらやるか。または別の方法で臨んでいくか。

<石附>

 今回のテーマの米王国とか米文化というところで、米を食べなくなったら食べなくなったで、人間の生活感というか、社会様式が変わったので、生産量が個別で増えるということをプロモーションしても、残念ながら人間は楽なほうに、手で植えなければいけなかったのが機械で植えられれば誰も手で植えるなんて言う事はしないのと同じように、ご飯を作るよりもパンを買ったほうが楽ですと。尚且つおかずがそれにそぐうようなものを食べるようになったという食文化の変遷が、米王国といわれる新潟の米ではなくて、別に新潟という名前がついていれば他の米でもいいですみたいな?新潟ブランドが残っている状況の中から、お米を米飯で食してくれと言う事にはもう限界感が有り、例えば米のまま調理して食べていただくというボリューム的な事も同じく、日本という桝で考えれば限りなく減少傾向で、今後も逆転は出来ないでしょう。

 

 人口も減ってくる、食べる人も減ってくる。その中で何か県内産のお米消費の方法が無いかと考えたら、確かに、普通に稲を作ると作業量というのは、多分畑作に比べたらいろいろな作物があるのでしょうけれども、国内で生産される田圃はとても作業量が少ない。では、そこで出来たお米から米由来の他の商品を作っていただくとか、多分?国内でも有数の米菓製造業を持つ新潟県として国内産の原料由来のものしか使われないようなルールにしていただくとか、なかには100%国内産しか使用していない企業も有りますし、包装品の表記を見れば判りますよね!また米派生からくる原材料のひとつにアルコールが有ります。

日本酒の普通酒・本醸造酒・吟醸酒・大吟醸酒に混入されるアル添は、サトウキビを主原料にしたアルコール原材料(原液のエチルアルコール)の殆どを輸入で賄っていますけれども、日本酒は国酒なので、日本酒のアルコールは国内産の米由来のアルコールで賄うと言う事に成れば消費を増やすことになります。日本酒に入れようが何しようが。米由来のアルコールというのは高いではないですか。米と同じ作り方で実はアルコール醸造、最終醸造を昔はやっていましたが、戦後の米不足からくる様々な事情から輸入品に取って代わられていますが、それひとつを実施しただけでも多分米が足りなくなります。足りないというのは変な話、沢山消費すれば価格的には上がる訳ではないですか。今よりも出先のものを買えるというと言う様な。

 

 政府は七、八年前に輸入米粉利用による日本酒を禁止しました。使われていなかったと思っている方々のほうが多いと思うけれども、パック酒の原料というのは、ほぼ輸入米にベルギー産の米由来のデンプン添加で輸入貿易比率を下げていた訳です。そういう風にして日本の食卓に乗っているものはいろいろな形で変えられて、実は、国内産だといって食べているものが、そうでなかったりとか行政も様々な形で協力してきましたが、尚且つ農村地域の労働力を吸収して、県内メーカーに貢献してると思います。いろいろな形で、しかし、ではそこに残って百姓をしようという人達にとっては貢献しようとしても真逆的なような状況下になってしまっています。県内の米菓の製造メーカーさんが使用している原料の国内産比率は少ないですし、今後の米作をどうするのかという話だから想いを述べさせていただきますが、メーカーさんのある商品パッケージデザインには、原料米には海外産を使用してるのに、さも国内産を使用してるイメージのそんな商品を売るという、企業コンプライアンス上許されるのかと思います。経営者なら。それは我々も儲けなければならないから一緒だけれども、しかし、それは違うでしょうと言いたい。日本古来の何とかだなんて米菓を売っているけれども、別に日本のものを使っていないでしょう。そんなところを少し数パーセント変えただけでも米は十分に生産量に見合う消費がされます。米が余ります、余ります、いろいろなことを言っていますけれども、ご飯に持って食べる量は仕方がないです。簡便性とか、自分自身もそう食べなくなっている。では、少し横に目を移せば国内の農産物が国内で消費されていれば、今の食料自給率、日本の感覚で言っている、39パーセントですか。あんなものはカロリーベースでしょう。みなさん頑張って作っている野菜とか柿、どのくらいカロリーがあるか。ほとんどないものをカロリーベース換算する訳ではないですか。カロリーベースに何の意味があるのか?換算している先進国は日本1国だけでしょう。では、日本の農業生産額は世界何位ですか。

 

<能登>

 

 けっこう高いと思いますよ。

<石附>

 7、8、9位くらい。日本の物価が高いのもあるけれども、要はそれだけのものを国内生産している訳ではないですか。それは某部局、政府の方でそういうのを振り撒きたいから、振り撒きたいと言うのは予算上付けたいとかいろいろな話があって、そういう統計数字を作り上げています。米も一緒でしょう。米由来と言われるものを輸入品でやったら伝統的何とかという表現はやめていただきたい。お味噌の業界全てではないですが、国内1位の味噌メーカーで麴に使うお米の原材料などの使用している割合は1パーセントないです。有名な県で28日間で味噌が出来るメーカーにあれを全部国内産にしてくださいとお願いすれば、また味噌という漢字を書きたいのだったら、読めない外国から来る米を入れたら漢字で味噌と書いてはいけないよと言う様な。これは冗談ですけれども、そんなことを考えれば、米王国ではないけれども、日本の米が何とか運営上大きい流れの中で運営できれば、新潟はトップにいる訳だから、取引単価がどうのこうのは別として、今、北海道と青森とかいろいろな産地でも頑張っているけれども、挽回は出来るのです。ただ、それが実際、お金を払う人が許すのか許さないのか。我々から直接お米を買っているような方がそうですよねと言ったら、いや、誠にそうですと。そういうものは買ってはいけないのですね。ではなるべく国内産を探しましょうと考えるではないですか。例えば、県内の米菓さんの商品はオール国産ですというから、ではその米菓さんの食品を食べますと言う様なお客さん方が多いです。

しかし、全体で見たらそうではないところをもう少し考える構造的隙間もあるのではないかと思います。

日本酒もしかりです。

 

酒

 

<樋口>

 おいしいのだけれども。飲むのだけれども。

今の石附さんの意見に付いて、ある蔵元関係者からお聞きしましたが、日本を代表する大手酒造りの見学に行かれた時のお話です。その際に後日談として「こんなくず米を使ってよい酒が出来る訳がないだろう」とのお話を聞いた事があります。まさにその通りで、大手がそうなのです。

 

<石附>

 変わりがないですよね。実際は変わりがないけれども、そこは意識の問題でしょうと。意識をどうにか、感覚を変える事が出来るというのは、マスコミであったり、要は一つ一つ我々が地道にそれをお客さんに伝え、おせんべいならどこの商品を買ってくださいと言っても、それは1個1個ではないですか。早く変えていく為にはそう云う様な。米が米として日本国内でうまく産業として成り立つには、米由来に近いものを消費していただく。日本の米は高いと思いますが、それを生産者も消費者もみんなが生活できるように願っております。どんどん離農していく人がいる訳だから、安いものを作りたい訳ではないけれども、その用途に見合うものを作っていって、新潟のコシヒカリは新潟のコシヒカリ、魚沼コシヒカリは魚沼コシヒカリで残していきましょうという社会を、そんなことをやっていかないと上手く残れないのではないかという気はしますし、その構造のおかしさというのは感じます。

 

<能登>

 そろそろいい感じになってきました。

 ちょっと順番を変えて。

<佐藤>

 今の話、本当に参考になりました。私も米菓製造のほうに一部納めさせていただいてますが、先程言われた米菓の製造メーカーさんはほとんど国内産です。

<石附>

 100パーセントです。くず米も一切使いません。

<佐藤>

 本当に模範たるメーカーさんで、新潟県に何社ありますかねその様な米菓会社が、県内の米菓会社さんが、有数なメーカーさんがこれだけ新潟県に存在しているのに、なぜか輸入米とか県外からの米を使っている訳です。それもくず米です。丸のものはほとんど使っていないです。そんなことを言うと語弊があるけれども。ある時私の知り合いからこんな話が持ち込まれました。佐藤さん、米を譲ってよと。くずが入ってもいいから100トンでも200トンでもいいから何とか探してくれないかと言われて、そんな話あるかよと思って。表記に使用する順番に原材料使用の原産地表示が出る為に外国産の米を使うと順番が後になる為、国産の米を使いたいけれども、高くて使えないからくず米を何とかしてくれと。この前、米をよそに回してあげたことを話したら、農協のくず米を全部私にくださいという話から。本当に新潟県に工場を持ちながらそんな米を使っていて恥ずかしくないのかと。だから取引のあるメーカーさんは殆んど100パーセント県内米にしておりますので、餅米なのだけれども、私のわたぼうしという米を全量そこに出荷しています。これまでも少量の取引の有りましたメーカーさんは、今はもう全部県外産か輸入米に変わってしまったけれども。要は行政サイドからも県内産米を使える様な補助的施策なども有ると良いのですが・・・そういうPRをして。

 

 例えば、魚沼のほうに精米工場があるけれども、魚沼の米を100パーセント扱っている訳ではないですよね。それと同じで、魚沼にあるのだったら魚沼の米を半分くらいは扱う様な。新潟県内にある米菓会社はそういう風土にある為の方策等に県行政の強い指導を発揮してほしいと思います。そういう動きを我々からも提案して県と共にやっていかないと。ただどうしましょう、こうしましょうではなくて、例えば、樋口さんもそうなのだけれども、もし出来れば食の陣にもPRに一役買っていただき、いいところを、せっかくの会合なので、そういうものを発信しながらいろいろな組織を活用して新潟県のお米を加工米、転作枠で補償を出しているけれども、戸別所得保障はなくなりますが、生産調整部分はまだ残すと言っています。そういうような施策にも、国は補助金を出しますと言っているのだから、地方の末端の組織あたりが県の方に、或いはいろいろな措置を通して米消費に携わる会社や組織体へ、何とか新潟県に所在しての共同体としてお金を稼いでいるのだから、それをオール新潟としていろいろな組織で提案していただき、もっと新潟県の米を使うようにしていただければというのがただ一つの願いです。今、本当にそういう事をやっていかないと、これからの農家は疲弊します。

 

 前にも言ったように、業務用米に付いてですが、ただ、みなさんがそういうことを言っていって、確かに流れは変わらないとは思うのだけれども、できれば新潟県のコシヒカリは主食用米としてもいいのだけれども、そんなに不味い米はよその米に任せておいて、新潟県でも安い、コシヒカリの単価が下がってもいいから、業務用米であればこしいぶきにしましょうと増やしていけば、そんなに1トンも取れないし、そんなに不味くないのだから。

 私もあるお取引のあるお寿司屋さんに行ったら、佐藤さん、価格を何とかしてと言われて、それは無理だと。では、古米を何とか探してくださいと。寿司屋さんは新米を使えないのかと思いましたが、コシヒカリは高いのではなくそのお店の自慢は何か?。だから逆にこしいぶきとコシヒカリを混ぜて出したらまだ柔らかいと。それで、こしいぶきの古米を探して納めた事があるのですが、逆に古米を探すのは大変なのです。かえってコストが掛かってしまうし、取引は止めになりました。止めてしまって安い米を入れたと思いますが、その辺が、未だ、求めている米は何か新潟県の米を使いたかったらここまでは譲れないという部分をしっかり意識改革の必要性を感じました。当店は新潟県産のコシヒカリを使っていますというストーリーをつけて、先ほども言われたようにワインと同じです。

 

 もっと新潟県から頑張っていただき、新之助に特化しているような感じでやっておられますが、輸出米などもそうなのです。外国に行って流通関係者の人と輸出米の関係でいろいろやっていると、補助金はぽんと出す、それで一発で終わりなのです。彼らはもう仕事でやっていますから、公務員の仕事って判りますか。何年かすると転勤になって別の部所に行けばもう関係性は断ち切れです。我々は命を掛けているのだからもっと頑張ってやれやれと言うけれども、彼らにはそういう感覚に無く割り切っているだけですからね。何千万円も輸出に関する資金、計画があっても、一体的継続性が有りませんから。

 

米

 

<能登>

 どんどん過激になりますね。

<佐藤>

 そういうものをやはりもっと本気に出して、県なり組織なりが動き出して、やるのであれば徹底的にそこまでやらないと、担当をすぐ変えるのではなくて、やっていかないと。公務員あたりは本当にその時さえ何とか形式的なものを下請けに出して作ったものをぱっとやってきて終わりではなくて、やはりそれをずっと継続するような形でやっていかないと、本当に農家は潰れます。

 農家もあきらめるのではなくて、坂井さんの意見、とても良いなと思ったのは、今、息子が考えているのは、米だけでの将来性は駄目だからもう一人従業員を入れて、園芸担当の従業員を入れろと言っているのです。作れる場所も、基盤整備の除外地がどんどん出てきているのです。作れない。10アールとか5畝とかそんな処が出てきているのです。そういうところで基盤整備、自分方でやって貰って、それだったら借りるという。もうそんなものは作らなくてもいいやと。作ってくれと言うのだったらお金を貰って管理する土地管理業も私はやっているので、そこでトラクターを売ったり除草剤を売ったりしてビジネスになるのであれば借りても良いですという方向に持っていかないと、それはそこで管理料とかを貰って野菜作りをすれば良いのです。路地野菜を作って、例えば、どの位の機械力が必要か、今は当地域で人参作りやさつまいも、さといも、ネギは昔から、他にも柔肌ねぎは結構有名ですけれども。それはやはり区画整理なりして畑でもいいし田んぼでも良いから出来る様に、結構機械化しているのです。選果場もあるし、そういった資産でで私らの田んぼで作れないかという事を考えています。息子などはじゃがいもが2回くらい取れるかとか考えて、そういう方向で不足な機械も買って導入していける様な共同体で検討もしております。

 

 私は色々なアイデア出しては実験しており、大豆、麦なども栽培しているのです。しかし、今後国の政策としては、高収入を取れるような転作で、米ではないのです。転作枠の飼料米を作るような方向で補助金を出しているけれども。国だっていつまでも資金が続く訳ないのだから、逆に園芸で。例えば、産地交付金を今まで米粉に8万円もつけていた、備蓄米にいくらか出した、何だかんだではなくて、園芸でお金を出せと言っているのです。それを、当法人での会議に私は言うのです。それを私たちが先にやらないとだれも認めてくれないから、そういうものを。従業員を一人増やしてもいいから園芸担当を設けて、露地とハウスでも良いから機械力を投資してでも、何人か集めてやろうかなと言う事業を、新しい事を考えています。

 

 私も園芸をやっていますし、私の直売所は無いけれども、いろいろな直売所に小松菜、カブ、キュウリ、トマト等を作って直売して貰っていますが、殆ど利益は人件費で終わっています。20棟くらいハウスがあるので、そこで作っていますが、殆ど利益は出ません。露地野菜も含めて機械化できるのであれば、これだけ米価に不安もるので複合化を考えていかないと、本当に動きは変わらないです。輸出物は当然入ってくるし、米菓会社に国産の米を使ってくださいと言っても急には変われない、先程のご意見でアルコールに付いては、私もブラジルに行った際に気付いた事が有ります。ピンガというアルコール、45度も50度もあるようなピンガというのはトウモロコシから作るのです。車でも向こうはアルコール車ですよね。排気ガスがアルコールのにおいがする。あれは国の政策としてやっていますから成り立つのです。トウモロコシを作って酒を造ったり、車の燃料にアルコールを使用したりしている訳ですから、国の政策を変えれば簡単な事なのかもしれませんが、なかなかそこまで行かないのです。今、政策が園芸に金を出すと言っているのだから、それに取組まない方策はないと思うのです。経営を考えていく中で、米オンリーで、私も先程言ったように6割くらいが米で、あと4割くらいいろいろなものを取り入れてやっているという、複合経営化していかないと農家の経営は成り立ちません。

 

 そこで経営が成り立てば雇用促進も成されます。パートタイマーは大勢いるから、逆に使ってくれと、餅のシーズンになるといろんな人が来ます。今、息子の代になったので、面接はしませんが、私と同級生みたいな人がたくさん来るけれども、年寄りはだめだと言っているのです。それでも使ってくれと言うので、理由を聞きますとそれは孫の教育も終わったから暇で毎日遊んでいる訳にいかないからという話ですので、そんな考えでは採用は出来ないと言って断る。息子に聞いてくれと言えば、年齢はいくつですか、体が動かないで口だけ動くから駄目だと。

 

 そこで、園芸を取り入れた方向で、息子とも話をしておりますが、露地野菜作りをみなさん嫌っているのです。以前には私も嫌いましたが、ハウスで高収入のある小さいところで、軽いものでキュウリ1本。しかし、大根1本、と比べてみればものすごく重い訳ですから。キュウリだったら40円で売れます。大手のバイヤーと契約したのが、35円で契約しました。大根1本35円しません。そういう事もあり試行錯誤しましたが、今は田んぼにいつまでも米作りにこだわる事無く考えております。

 

 米も売り方を変えて新潟県をPRする、その宣伝マンはやはり新潟県の場合にはこれまでコシヒカリにあぐらをかいてきたものだから、他県に追いつかれているようですが、今秋には、たまたま新之助が販売されるのでチャンスでしょうね!だけど私は人気も向こう3年あるかと考え、その間に他の方策を考えないといけないのかなと思います。山形県のつや姫と同じ様な括りでやっていくと思うので、どこまで売れるかは判らないけれども、GAPみたいなことをやらなければ作ってはいけないというやりかたなのでしょう。ただ農場がGAPを取るような管理をしている農場でなければ駄目だという言い方だから、何か不思議で、おいしい米を作るために新之助を作ったのではないのですかと言ったら、GAPやJGAP。だんだん行くとグローバルGAPみたいな感じになるのかなと思っています。これはやはり新潟県がもっと本来の指導を発揮して、農薬等5割減で作りなさいとか言うのだったら未だ判りますよ。肥料は有機肥料を使って美味しいものを、それで行こうと言うのだったら話は判るけれども、そのあたりが少し矛盾していると思うのです。

 

 もっとPRして、いいものをお客様の末端まで伝わるような。業務用でもそうなのです。業務用であればこしいぶきでも十分だと、値段が少しくらい安くなっても業務用で、県内のお米屋さんが新潟県のこしいぶきを業務用で使ってもらって大いに結構だと思うのです。それを増やしていけばいい。国があんな言い方をするから県もそういう業務用米が足りないから、輸出が入ってくるから困るから安い1万円前後の米を作ってくださいと。飼料米と同じような値段で、今の政策にはやろうとしている事と少し違う方向に進んでいるのかなと思っています。