-夏の食材
北前船が湊町新潟にもたらした文化のひとつが村上茶だ。「北限の茶どころ」村上で、茶の栽培が始まったのは江戸時代初頭。伊勢や宇治の単一種は風土に合わず、自然交配を繰り返して生き残った混合茶樹が「村上茶」となった。寒さに耐えるため茶葉は小きい。日照時間が短いことから渋み成分のタンニンが少なく、独特のうまみとさっぱりとしたあと味が特徴だ。ゆえに冷茶もうまい。
「お茶に含まれるテアニンといううまみ成分は水にも溶けやすい。だから冷茶には、テアニンを多く含む煎茶や玉露が向いているんです」とは、浅川園社長の古館邦彦さん。おいしい冷茶の入れ方をうかがうと「お湯で入れるときの倍の茶葉を急須に入れ、ひたひたに水を注ぎ、そのまま冷蔵庫で鋤分以上放置するだけ。茶器も冷やしておけば、不意の来客でも大丈夫。夏は、こんな粋なおもてなしをしたいですね」。…
「筍生産農家と言っても、一番大事なのは竹林の整備なんです。実は、筍は竹林を管理する中で採れる副産物のような存在と言っても過言ではないんですよ」と話すのは、小学生の頃から筍を掘ってきたという大ベテランの阿部さん。竹林は1年放っておくと人が入れないほどに密集してしまうという。「毎年、竹林のあちこちから生えてくる筍を採り、採り切れない分は伐採しています。そうやって常に手を入れて、元気な若い竹を残していかないと竹林は7年でだめになってしまうんですよ。竹林が荒れないようにするために筍を掘ってるんです(笑)」。そんな筍の旬は4月中旬から5月中旬の約1ヵ月。「シーズン中は、まず4時に起きて田んぼの様子を見に行きます。そして、5時から7時に筍を掘るんですが、多い時は朝の2時間掘っただけでも70キロくらいになるんですよ(笑)」。
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