-秋の食材
(港すし)
新潟を代表する駅弁として親しまれている「鮭の押し寿司」の発祥は定かではない。しかし40年ほど前に生まれた、新潟市内の老舗寿司店の押し寿司を懐かしむ声が、いまだに聞かれる。
それは「鮭の親子すし』。昭和8年創業の港すし初代、川上吉助さんのアイディアから生まれた。昭和33年の新潟駅開業の折り、地下の名店デパートへの出店を機に作られた。このすしには、上京する人たちに、新潟になじみの深い鮭を使ったこのすしを土産にしてほしい、という思いが込められていた。
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新潟県阿賀野市、五頭連峰の湧水で作られるコシヒカリの中から、新しいお米の登場です!
地域に密着した、昔からのお米屋さん【かたぎり】の三姉妹が育て上げた「五頭山系プレミアムコシヒカリ さんし米」。三姉妹が米屋の傍ら懸命に作ったこのお米は、無農薬で有機肥料を使用した優しい育て方。米屋なのだから、米作りのいろはや苦労を知らなければと始めた米作り。機械を使わず、慣れない農作業に苦労しながらも、ついに昨年1回目の収穫を迎えました。
なんといっても特徴は香りの良さ。生産者を隠し、農家さん他のコシヒカリ数種類と食べ比べしてもらったところ、「さんし米」は圧倒的に香りが良いと評価されました。粒も大きく、食べごたえはじゅうぶん。…
-夏の食材
春のメバルに梅雨のソイ。夏のコチにキス、スズキ、一年を通してみればフナベタ、ヒラメにバイ貝、イカ各種。 新潟の寿司は白身が自慢だ。いやなに、白い魚介にこだわってにぎっているわけではない。日本海という巨大ないけす、ここから揚がった新鮮な季節の魚を使ったら、自然、白身が多くなったという次第である。「夏といえばキス、スズキ。ただし実のところ、両方とも一年を通して穫れる魚で、脂がのるのは秋から冬にかけて。あえて夏に食すのは、油がぬけてあっさりしているからでしょう」とは、粋をにぎる丸伊の横山範夫さん。
そして新潟の海がこの夏の白身にさらなるうまみを加えていた。というのも日本海は日本海溝という深い深い溝を持つ。白身魚はだいたいにして海の底に棲む魚。深いところほど温度は低いゆえ身が引き締まり、あっさりとした味わいをうむ、というわけだ。想像してみてほしい。だらりとした白身の味を。あまり食指がそそられないだろう。コリコリとした歯ごたえ、そこから広がる凝縮されたうまみ。おいしい白身は、新潟でこそ堪能できるのだ。
ほかにも一年を通して味わえるイカ。冬はヤリイカ、春はスミイカ(アオリ)、秋はアオリイカだが、夏はマイカ。甘みを味わうならこれだ。コチの粘りのある舌ざわりと噛みしめるほどの甘みも夏ならでは。ヒラメに匹敵する小魚のフナベタも春よし秋よし、夏もよし。一方、ぎらりと脂を味わいたいなら、白身ではないがアジに尽きるだろう。横山さんも新潟の夏の寿司はアジ、と言い切る。「身が締まりつつ脂がのっている。新潟のアジは格別」と締めてくれたと思いきや、いやいや、岩ガキの豊潤なミルクも捨てがたい、とつけ加えた。 …
-夏の食材
北前船が湊町新潟にもたらした文化のひとつが村上茶だ。「北限の茶どころ」村上で、茶の栽培が始まったのは江戸時代初頭。伊勢や宇治の単一種は風土に合わず、自然交配を繰り返して生き残った混合茶樹が「村上茶」となった。寒さに耐えるため茶葉は小きい。日照時間が短いことから渋み成分のタンニンが少なく、独特のうまみとさっぱりとしたあと味が特徴だ。ゆえに冷茶もうまい。
「お茶に含まれるテアニンといううまみ成分は水にも溶けやすい。だから冷茶には、テアニンを多く含む煎茶や玉露が向いているんです」とは、浅川園社長の古館邦彦さん。おいしい冷茶の入れ方をうかがうと「お湯で入れるときの倍の茶葉を急須に入れ、ひたひたに水を注ぎ、そのまま冷蔵庫で鋤分以上放置するだけ。茶器も冷やしておけば、不意の来客でも大丈夫。夏は、こんな粋なおもてなしをしたいですね」。…
「筍生産農家と言っても、一番大事なのは竹林の整備なんです。実は、筍は竹林を管理する中で採れる副産物のような存在と言っても過言ではないんですよ」と話すのは、小学生の頃から筍を掘ってきたという大ベテランの阿部さん。竹林は1年放っておくと人が入れないほどに密集してしまうという。「毎年、竹林のあちこちから生えてくる筍を採り、採り切れない分は伐採しています。そうやって常に手を入れて、元気な若い竹を残していかないと竹林は7年でだめになってしまうんですよ。竹林が荒れないようにするために筍を掘ってるんです(笑)」。そんな筍の旬は4月中旬から5月中旬の約1ヵ月。「シーズン中は、まず4時に起きて田んぼの様子を見に行きます。そして、5時から7時に筍を掘るんですが、多い時は朝の2時間掘っただけでも70キロくらいになるんですよ(笑)」。
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